蛍光X線分析装置(XRF)とは?測定できる元素・試料・EDXRFとWDXRFの違い

3行要約
試料へX線を当て、元素から放出される蛍光X線を検出して組成を調べます。
金属・鉱物・樹脂などの元素スクリーニングや材料管理に利用します。
化合物の同定や化学状態の決定は、通常のXRFだけではできません。

機器名・略称 蛍光X線分析装置(XRF/エネルギー分散型EDXRF・波長分散型WDXRF)
測定対象 測定条件・検出器・試料条件に適合する元素の存在と含有量
試料例 金属片、鉱物粉末、成形樹脂、専用容器に入れた液体
結果の例 元素別X線スペクトル、推定含有量、検量線方式の定量結果

1. どんな分析機器?

蛍光X線分析(XRF)は、試料にX線を照射して元素から放出される特性X線を調べる方法です。大きく分けると、エネルギーで識別するEDXRFと、分光結晶などを用いて波長で分けるWDXRFがあります。

多くの試料で比較的少ない前処理による元素情報が得られます。ただし、測れる元素範囲や感度は装置・雰囲気・試料形態で異なります。

2. どんなときに使う?

金属材料の受入検査、鉱物・セメントの管理、樹脂に含まれる特定元素のスクリーニング、異物の元素分析などで使われます。固体を大きく壊さず調べたいときに有力です。

試料が不均質だったり、厚さや測定面が異なったりすると、代表性や定量結果が変わります。微小な粒子や極薄膜は、専用の測定方式・条件を要する場合があります。

3. 分析には何が必要?

装置、試料台または試料容器、必要に応じて粉砕・加圧成形・融解ビードなどの前処理、元素標準試料・校正材料を用意します。測定雰囲気の大気・ヘリウム・真空の選択は、軽元素への感度や試料の扱いに関わります。

液体は専用フィルムや試料容器の適合性を確認し、こぼれや漏れによる装置損傷を防ぎます。X線を扱う装置なのでインターロックなど安全機構を勝手に解除してはいけません。

4. どんな仕組みで分析する?

一次X線を試料へ照射すると、試料の元素から特性X線が放出されます。検出したエネルギーまたは波長を元素の手掛かりにし、信号強度から組成を推定します。

EDXRFはエネルギー分解能を持つ検出器で測定し、WDXRFは分光素子で波長を分離します。異なる方式には測定時間、分解能、適用条件の違いがあります。

試料を配置 → X線を照射 → 蛍光X線を検出 → 元素・含有量を評価

図:一般的な測定手順の独自模式図(特定メーカーの構成図・実測結果ではありません)

5. 分析すると何が分かる?

XRF:EDXRFスペクトルの模式図蛍光X線のエネルギーと検出強度
ピークAピークB115蛍光X線エネルギー(keV・架空例)信号強度(任意単位)オリジナル模式図・架空データ。特定物質や装置性能を示しません。
スマートフォンでは図を左右にスクロールできます。 XRF(EDXRF)のスペクトル模式図(当サイト作成・架空の信号)。ピークのエネルギーは元素判定の手掛かりですが、ピークの高さだけで含有量は決められません。

横軸をX線エネルギーまたは波長、縦軸を強度としたスペクトルが得られます。特徴的なピークから元素を推定し、適切な検量線や基本パラメータ法などにより含有量を求めます。

「ピークが見えた」と「規格値を満たすと確定した」は別の判断です。試料の厚さ、共存元素、校正方法、測定不確かさを確認します。

表面だけを測っている?試料の厚みは関係する?

XRFで得られる信号は、試料内部から出た蛍光X線が試料自身に吸収されながら検出器へ届いたものです。そのため、測定に寄与する深さは一定ではなく、試料の主成分や測定する元素のX線エネルギーなどによって変わります。薄膜、めっき、表面付着物の測定値を、そのまま母材を含む全体の組成と解釈しないでください。

粉末試料では粒子の大きさや充填状態、液体試料では試料容器の薄膜も測定に影響します。定量値を比較するときは、試料形状・厚み・調製方法を揃え、分析方法に適した標準試料や補正法を使います。参考:島津製作所:蛍光X線の分析深さ、JAIMA:波長分散型蛍光X線分析の原理と応用。

6. 何が分からない?苦手なことは?

元素によっては検出が難しく、軽元素には装置構成や測定雰囲気による制約があります。ピークの重なり、マトリックス効果、粒径・表面状態・試料厚さなどが定量の誤差要因になります。

元素組成を示しても、たとえばその金属元素がどんな酸化状態や結晶相にあるかは通常特定できません。物質の相を調べるにはXRDなどが必要です。

7. 使用時の注意点と維持管理

試料室への粉末や液体の持ち込み、試料容器の破損、測定面の汚れに注意し、装置の校正・標準試料の定期確認を実施します。

X線安全機構の点検、取扱説明書に従った保守、適切な廃棄物の扱いが必要です。試料準備法が変わった場合は比較可能な結果か確認します。

8. 似た分析機器との違い

ICP-OES:溶解した試料をプラズマに導入して発光から元素濃度を測る方法です。固体の直接・非破壊測定が求められる場合はXRFと要件を比べます。

XRD:結晶相・結晶構造に関する情報を得ます。SEM-EDS:SEM観察位置に結び付いた局所元素情報を得る方式で、XRFとの観察領域や試料条件が異なります。

代表メーカー・現行機種

2026年10月28日に初回確認し、2026年10月31日にメーカー公式製品ページへの掲載を再照合した一例です。島津製作所「EDX-7200」。公式掲載の確認であり、最新発売日や購入可否の確認ではありません。

参考文献・出典

  1. JAIMA「X線分析法の基礎と応用」(確認日:2026年10月28日)
  2. JAIMA「波長分散型蛍光X線分析装置の原理と応用」(確認日:2026年10月28日)
  3. 島津製作所「EDX-7200」 製品公式ページ(確認日:2026年10月28日)

関連機器・兄弟サイトへのリンク

結晶相や結晶性を調べたい場合は粉末XRD(粉末X線回折)を比較してください。XRFで得られる元素情報だけでは結晶相を決められません。

固体を酸分解して溶液中の元素を定量したい場合は、ICP-OES(ICP発光分析)も比較候補です。試料形態・干渉・定量条件を確認して使い分けます。

XRFで元素組成を調べる場合と、XRDで結晶相を調べる場合では、得られる情報が異なります。試料の形状や前処理から考えるなら試料の状態から探す、測定したい情報から選ぶなら分析目的から探すをご覧ください。

最終検証日: 2026年10月31日(主要な科学説明・独自模式図・公式製品掲載情報を編集部で照合)。外部専門家による独立査読ではありません。製品の発売日や現在の受注・販売条件は未確認です。

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