UV-Vis(紫外可視分光光度計)とは?吸光度・検量線・測定の注意点

3行要約
試料が紫外・可視光をどれだけ吸収するかを測定します。
溶液中の対象成分の定量や、光吸収特性の比較に用います。
吸収ピークだけで混合物中の未知化合物を一意に決められるとは限りません。

機器名・略称 紫外可視分光光度計(UV-Vis)
測定対象 紫外・可視域の光吸収、条件を満たす対象成分の濃度
試料例 標準液・試料溶液、対応アクセサリーを用いた固体試料
結果の例 波長と吸光度のスペクトル、選定波長での吸光度・濃度

1. どんな分析機器?

UV-Visは紫外・可視域の光を試料に通し、光の減少を吸光度として測定する分光機器です。分子の電子状態に関係する光の吸収を利用します。

吸光度の測定は濃度分析に利用できますが、試料中の目的成分が測定波長の光を十分吸収し、他の成分や濁りの影響を扱えることが前提です。

2. どんなときに使う?

溶液の濃度測定、反応進行の追跡、色や吸収スペクトルの比較、品質管理に使います。適切な基準液と条件を用いて吸光度を比較できる試料に向きます。

強い濁り、光を散乱する粒子、吸収が重なる複雑な混合液では、測定方法・前処理・別の分析手法の検討が必要です。固体測定は透過・反射用の付属品により条件が変わります。

3. 分析には何が必要?

装置、用途に合うセル(紫外域ではセル材質の適合性に注意)、ブランク、標準溶液、清浄な溶媒を用意します。必要に応じて適切なセル光路長、温度制御や積分球などを使います。

セルの指紋・傷・気泡、溶媒の吸収、試料の反応性に注意してください。試料によっては希釈で吸光度を適切な測定範囲に収めます。

4. どんな仕組みで分析する?

光源・分光器・試料室・検出器などを用い、基準状態の光強度と試料透過後の強度を比較します。吸光度 A=log10(I₀/I) は入射光I₀と透過光Iから定義されます。

単純な条件ではランベルト・ベールの法則に従って吸光度と濃度が比例し、校正・定量に使えます。

ブランク・標準液の用意 → 試料に光を通す → 透過光を検出 → 吸光度・濃度を表示

図:一般的な測定手順の独自模式図(特定メーカーの構成図・実測結果ではありません)

5. 分析すると何が分かる?

UV-Vis:吸収スペクトルの模式図波長ごとの吸光度を示す
吸収極大200800波長(nm)吸光度(Abs.・架空例)オリジナル模式図・架空データ。特定物質や装置性能を示しません。
スマートフォンでは図を左右にスクロールできます。 UV-Visの吸収スペクトル模式図(当サイト作成・架空の信号)。吸収が強い波長は成分の特徴を考える手掛かりになりますが、同定や定量には標準試料と測定条件の確認が必要です。

吸収スペクトルの横軸は波長、縦軸は吸光度です。極大吸収の位置と形状は試料の特徴を比較する手掛かりになります。定量では妨害の少ない波長を選び、検量線や標準物質を用います。

透過率から吸光度を読む例

透過率は、入った光に対してどれだけの光が試料を通り抜けたかを示す割合です。吸光度Aは、透過率を小数で表したTを使ってA=−log₁₀(T)と表せます。例えば透過率50%(T=0.5)なら吸光度は約0.30、透過率10%(T=0.1)なら吸光度は1.00です。これらは計算例であり、実測値ではありません。

吸光度が2倍なら濃度も必ず2倍というわけではありません。光路長、測定波長、試料の化学状態などが同じで、検量線の直線範囲内にある場合に、吸光度と濃度の比例関係を利用できます。参考:島津製作所「分光光度計の構造」。

吸光度が測定範囲から外れる場合や化学平衡が変わる条件では、濃度との比例関係が成り立たないことがあります。セル長、pH、溶媒、温度を確認します。

吸光度が大きいほど、濃度を正確に測れる?

吸光度は透過した光の強さから求めます。吸光度が高すぎる試料では、検出器に届く光が少なくなり、装置の迷光などの影響で濃度との比例関係が崩れる場合があります。測定可能な吸光度の範囲は機種や設定によって異なります。

濃度を求めるときは、ブランクを用いて基準を合わせ、既知濃度の標準液で検量線を確認します。試料がその範囲を超える場合には、試料の安定性や化学平衡への影響を考慮して希釈などを検討します。濁った試料は光の散乱も重なるため、吸光度の変化をすべて対象物質の吸収と判断しないでください。参考:島津製作所:高濃度試料のUV-Vis定量測定。

6. 何が分からない?苦手なことは?

UV-Visは、吸収する成分が重なる混合液で特定の化合物を一意に同定するのが苦手です。光をほとんど吸収しない成分も直接測りにくくなります。

濁りによる散乱、セルの汚れ、迷光、溶媒の背景吸収などが誤差要因です。分子構造を詳しく調べる際はFTIR、NMR、MSなどの結果も必要です。

7. 使用時の注意点と維持管理

セルの透明面を清潔にし、気泡・指紋・傷を避けます。ブランクを適切に取り直し、ランプ・波長精度などの点検をメーカー手順で行います。

測定液の揮発・光分解・温度変化によって結果が変わることがあります。必要な保護具、SDS、廃液処理の規定に従ってください。

8. 似た分析機器との違い

HPLC-UV:先に成分を分離してから吸光度で検出します。UV-Vis単独では混合物の重なりを解決できない場合があります。

FTIR:赤外域の分子振動情報を測り、官能基などの評価に使います。蛍光分光:励起後の発光を測定する手法で、対象とする物理現象が異なります。

代表メーカー・現行機種

2026年10月28日に初回確認し、2026年10月31日にメーカー公式製品ページへの掲載を再照合した一例です。島津製作所「UV-1900i Plus」。公式掲載の確認であり、最新発売日や購入可否の確認ではありません。

参考文献・出典

  1. 島津製作所「分光光度計の構造」(確認日:2026年10月28日)
  2. 島津製作所「UV-1900i Plus」 製品公式ページ(確認日:2026年10月28日)

関連機器・兄弟サイトへのリンク

混合物中の成分を分離してから紫外・可視吸収で検出する場合は、HPLCの原理と検出器をご覧ください。HPLCにはUV/PDA以外の検出器もあります。

吸光度や検量線、ブランクの基本は初めての分析機器ガイドにまとめています。UV-Visのほかにどんな分析法が候補になるかを調べるときは、分析目的から探すを参照してください。

最終検証日: 2026年10月31日(主要な科学説明・独自模式図・公式製品掲載情報を編集部で照合)。外部専門家による独立査読ではありません。製品の発売日や現在の受注・販売条件は未確認です。

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